2007年9月17日月曜日

道内の年金記録第三者委 申し立て821件 審査難航、納付認定11件

年金保険料を支払った記録がない人への年金給付の是非を判断する、総務省の「年金記録確認地方第三者委員会」への審査申し立てが始まってから、十七日で二カ月。道内の申し立て受付件数は八百件を突破したが、このうち地方委が「保険料は納付されていた」と判断した案件は、わずか十一件(1・3%)。判断材料となる資料や証言の収集に時間がかかっているためで、申立人たちはいら立ちを募らせている。  申立人の対象は、年金保険料を納めていたのに社会保険庁に納付記録がなく、領収書などの直接的な証拠も持っていない人だ。道内では各地の社会保険事務所や年金センターで申し立てを受け付けており、札幌、旭川、函館、釧路にある地方委のいずれかで審査される。  社会保険庁によると、道内の申し立て受付件数は、計八百二十一件(九日現在)にのぼっているが、審査の結論が出るまでのスピードは鈍い。理由は、審査に至るまでの「準備期間」が長いことだ。  社会保険事務所は申し立て受け付け後、申立人から申し立ての理由や当時の状況などを聞き取り調査し、書類を作成してから地方委へ送る。この段階でまず時間がかかり、道内での地方委への送付件数は三百三十一件(十四日現在)にとどまっている。  送付後は、地方委の職員による「証拠探し」が始まる。本人や家族、勤務先の同僚の証言、当時の家計簿や預金通帳の記録、勤務先の給与明細、雇用保険の納付状況など、あらゆる方向から集めるが「二十年、三十年前のことだと、記憶に具体性がなく、資料もほとんど残っていない」(札幌の北海道地方委)、「市町村などにも国民年金の納付記録を照会しているが、依頼が一斉に来ているのか、回答に時間がかかる」(函館地方委)と、スムーズに進まないのが現状だ。  一方、申立人たちは、結論が一日も早く出ることを待ち望んでいる。札幌市の男性(65)は、国鉄勤務時代の一九六一年の八カ月間が未納とされ、七月に道地方委に申し立てした。  自ら資料を取りそろえ、地方委へ出向いて説明もしているが、結論は出ていない。男性は「国鉄が保険料を天引きしていないはずがない。自分が死ぬのを待っているのではないかとすら思える」と憤る。  年金記録確認中央第三者委員会(東京)によると、総務省は調査の遅れを受けて、地方委への職員の増員も検討している。  二百件以上の申し立て書が届いている道地方委の小田勝委員長は「委員会の審査に上がる前の事務方の調整、整理が進めば、(処理件数を増やすため)十人の委員会を二つの小委員会に分ける工夫も考えたい」などと話している。(北海道新聞 引用)

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